なかなか治りが悪いスポーツ障害に、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)という疾患があります。

一般的には、アスファルトや硬いグランドでのランニングやジャンプを沢山行うと、下腿のヒラメ筋や後脛骨筋などの足関節底屈筋群の脛骨起始部(すねの内側で足首と膝の中間よりやや下の部分です)に牽引ストレスが繰り返し加わり痛みが発生するものとされています。

その部分の筋や腱が弱い若年層(部活に入りたての中学1年生など)や、しばらく運動から遠ざかり弱っている人(受験明けの高校1年生、大学1年生など)が急に走り始めたときに多くみられます。またランニング中、接地時に足関節が強く回内するような走り方をする人(靴の外側が擦り減りやすい傾向のある人)に起きやすい傾向があります。

ダッシュやジャンプでなくジョギングだけでも、いきなり長時間走ったり、毎日続けたりすることで起きやすくなりますし、ベテランランナーでも、疲れて足の裏のアーチが落ちていたり、「膝や腰が痛い」、「肩凝り」などでランニングフォームが乱れてシンスプリントを起こすことがあります。

もちろん、トップレベルの選手でも、その練習方法が不適切であったり練習量が多過ぎたりすれば起こることがあります。


以上のことからもシンスプリントの治療としては、安静のみでは根本的な解決にならず再発しやすいため、当クリニックでは原因を究明し症状を解消すること、また再発を予防することを目標とした治療を行うために、段階的なアスレティックリハビリテーションの導入をお勧めしています。

まず初診時に似たような状況で似たような症状を引き起こす脛骨疲労骨折との鑑別(レントゲンやMRIなどの検査で判断します)を行い、シンスプリントと診断した場合には以下の病期に分けアプローチしていきます。

急性期 ・・・痛みが強く安静が必要
亜急性期 ・・・少し痛みが和らいでくる
慢性期 ・・・違和感が残り運動後に軽い痛みがある
回復期 ・・・違和感は残るが痛みはない
合流期 ・・・症状がなく競技復帰を目指す

具体的な治療の流れは以下のようになります
ゝ淦期  アイシング ストレッチ     
     タオルギャザーや足関節の抵抗運動
     アウフバウなどマット上での股関節・体幹部のトレーニング
亜急性期  交代浴 ストレッチ マッサージ
     タオルギャザーや足関節の抵抗運動
     バランスマットを用いて、立位でのバランス訓練
     アウフバウやロータリーヒップマシンにて股関節・体幹部のトレーニング
     肩凝り体操としての棒体操や肩インナーマッスルトレーニング
     ウオーキングでのフォームチェック

K性期  交代浴 ストレッチ マッサージ
     (上記リハに加えて)
     スクワット及びレッグランジにて下肢アライメント調整
     ジョグでのフォームチェックから軽ジョギング開始

げ麌期  交代浴 ストレッチ マッサージ
     (上記リハに加えて)
      腕をしっかり振ってのランニング
     専門競技のフォームをしてのダイナミックアライメントのチェック
      ランニング強度の段階的レベルアップ(スピード、持続時間、反復回数)
      必要により、インソールの処方

ス舂期   交代浴 ストレッチ マッサージ
      ランニングからダッシュへ
      ジャンプ開始
      専門競技への部分合流
     *必要に応じて合流へのプログラム作成を行います。


太字は保険外治療で行う部分となります

*急性期を超えてからは、患部周辺から関係する足底、下腿の筋緊張に対してマッサージは効果的です。

このように来院時の状況により適切なメディカルリハとアスリハを組み合わせる事により、復帰を早めるだけでなく、再発予防にも役立つと考えています。